ここは「惑星ラグオル」、以前ここは「パイオニア1」という都市が建設されていた。

        だが突如起きた謎の大爆発で都市は消滅、さらに「パイオニア1」の中心都市、セントラルドームの内部で古代の生物としか信じられていなかった「ドラゴン」が存在したのだ。

        この事件に関しての調査で政府の軍が「惑星ラグオル」に降りることが許されていた。

        だが、もう一つ「惑星ラグオル」に降りられる者達がいた。

        それは「ハンターズ」

        「ハンターズ」とは、活動場「ハンターズギルド」という所を拠点とし、様々な人々から依頼などを受け生活している者もいれば、自ら戦いを好むハンターもいる。

        そして、今回紹介する話は一人のヒューマーと、ある場所の人々のお話。



        「刀に認められし者」(前編)



        ここは地上ラグオル、時間は大体11:00といったところか。
        そこには一人のハンターの姿があった。

        名前は「セシル」伝説の刀「オロチアギト」を手にしていると噂のハンターだ。

        出身、年齢などは不明だがパイオニア2では珍しい「関西弁」という言葉を使い、かなりの多重人格という噂がある。

        そのセシルに一本の通信が入った。

        セシルはアイテムパックから通信機をだし、通信相手を表示した。

        通信の相手は「ブラック」、周囲の人々からはクロと呼ばれていて、セシルと共に行動しているせいかクロもちょっとした噂があった、「変わり者」という…。

        セシルはクロの名前を見ると、さっきまで怒りっぽかった顔が一瞬にして笑み混じりの顔になり、通信ボタンを押し、映像を出した。

        「クロ、お前にしては早起きやなぁ。」

        セシルが意地悪っぽく話をするとクロは少し怒った表情をした。

        「毎回毎回遅く起きると思ったら大間違いだ!」
        「堪忍、堪忍。んで?用件は何?」

        セシルが用件を聞くとクロは思い出したという顔をした。

        「あ!そうだった、セシルが怒らせるせいで忘れてたよ」
        「俺のせいにすんなや…(怒)」

        「まあ怒った顔しないでさ、今さっき聞いた話なんだけど、セシル以外にもオロチアギトの所有者がいるらしいよ?嘘か本当かはわかんないけど、ナイトクラブ「ノーチェ」とかいうところのカムナ=アーク、通称ママっていうハニュエールが持っているらしいけど、かなりの凄腕らしいから勝負を申し込むなら相当覚悟が必要だね」

        クロが少し自慢げにいう中、セシルは驚きを隠せなかった。
        「俺以外にも所有者が居る…?いままでこの刀が世界で一本しか無いと思っていたのに」と。
        「さすがのセシルも動揺してるねぇ」

        クロが笑いながら言った。

        「まぁな、このオロチアギトが世界に一本しかないと思っていたから尚更や。しかも凄腕のママさんか、面白い。道場破りのつもりでいっちょ行ってみるかい…」

        セシルは不安と期待を膨らませながらアークがいるナイトクラブ「ノーチェ」へと向かった。

        が、しかし。

        行ったのはいいが、営業日ではなかったのだ。

        セシルは見かけによらず突っ走る性格もあった。

        セシルは肩をがっくりと落とし店を後にしようとすると誰かとぶつかった。

        「のわっ!」
        「!」

        セシルはその場でしりもちをついたが、相手の方はなんとか立っていられたようだ。

        「痛ててて・・・すんません、怪我ないですか?」
        「いいえ、こちらこそよそ見をしてしまい申し訳ありません」

        セシルは痛みのせいかしかめ面で相手を見上げた。

        「あれ、もしかして嬢ちゃん、ここオーナーのレイヴンゆう方ちゃう?」
        「?そうですけど…、私になにか用事でも…?」

        相手の名前はフォマールの「レイヴン」、この店ナイトクラブ「ノーチェ」のオーナーだ。
        クロからある程度の人物の顔写真や個人情報などを提供してもらったため、本当にある程度の顔は覚えていた。

        「んー、オーナーさんには特にないんやけど…、ママさんにちょっとお話をと…」
        「今日は営業日ではないので私以外誰もいませんが…もしよろしければ伝言伝えておきましょうか?」
        「いや、営業日だけ教えてもらえればええよ、そんときまた来るから」

        そういってレイヴンから営業日と時間を教えてもらい、セシルは自宅に帰り、その日の為に武器の手入れ、訓練などをした。

        そして営業日当日、賑わっている店内の外の扉の前にセシルは立っていた。

        セシルは正直扉越しの店内の様子でオロチアギトの所有者、アークを甘く見ていた。

        「本当にオロチアギトの所有者がいるんかい…」と。

        そして半信半疑のまま店の扉の取っ手に手をやった。

        キィ…。

        「いらっしゃいませ!クラブ「ノーチェ」へようこそ〜!」


        (続く…